建設業押印の見直しについてNo4~押印を不要とした結果、虚偽申請・届出が増えるのだろうか~

建設業の申請・届出手続において、国の定める省令様式については押印が不要となり、その結果、行政書士の説明責任が重くなるであろうことは前回説明をいたしました。
今回と次回は他社(他者)証明について考えてみたいと思います。
建設業の申請・届出書類の中で、証明書類というものがあります。
いわゆる、経管証明と実務経験証明というものです(他にも専任技術者証明書というものがありますが他社(他者)証明とは関係ないので今回は触れません)。
経管証明というのは、建設業の要件の一つである「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」の中で「適切な経営能力を有すること」に該当することを証明する書類です。様式7号と7号の2がこれに該当します。7号の2は昨年10月1日にできた制度であり、現在のところその要件を満たすハードルがたかいので、様式7号を念頭に説明をします。
IMG_0866.jpg
経営業務の管理責任者の要件を満たすことを証明する書類が様式7号の常勤役員(経営業務の管理責任者)証明書です。
この書類は(1)で下記の者が、常勤取締役(個人事業主含む)、執行役員、補助(旧補佐)のいずれかの経験を有することを証明します、と証明者が印鑑を押していました。
この証明は自社(自者)のみならず他社(他者)が行います。
ここで、他社(他者)が証明をするにあたり押印が不要になったのです。他社(他者)証明の押印が不要となったことで申請・届出が楽になったと喜ばれる申請者・行政書士は多いです。貰いにくい場合があったのも事実ですし、押印が不要となったことの最大のメリットでしょう。
他社(他者)の押印が不要となった結果、書類に他社(他者)の商号・住所・代表者名を記載すれば良いという体裁になるので、本当に証明をしたことになるのか。
言い換えれば、他社(他者)の了解なく記載すれば足りることに一見するとなります。
もちろん、他社(他者)の了解なく記載することは虚偽申請・届出になります。
そうすると、押印が不要となったことで虚偽申請・届出が多くなるのではとの不安は出てきます。あるいは、人によっては虚偽申請・届出がしやすいと思われる方もいるかもしれません。
この点は、押印を不要にしたことによるデメリットと言っても良いでしょう。
ただ、経管証明というのは、裏付け資料の提示(大阪府では)が求められます。取締役経験のときの裏付け資料には登記簿謄本のように誰でも取得できるもののありますが、建設業許可業者の場合、大阪府では許可通知書や決算変更届、建設業の許可業者ではない場合、確定申告書及び契約書・注文書・請求書が必要となります。
執行役員の経験のときは商業登記簿謄本が不要ですが、定款や役員会議事録、業務分掌規程など裏付け資料が増えます。
つまり、この裏付け資料は、通常他社(他者)が所有していて、申請・届出を行う際に他社(他者)から借りる必要があります。
この裏付け資料を所持して申請・届出をするということは、押印が無くても他社(他者)から証明を得ているといえるでしょう。
そのため、押印を不要としたからといって虚偽申請・届出が増えるとも限らないと思われます。また、決して、虚偽申請・届出がしやすくなるわけではないのです。
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